どうも。つい先日、11月19日発売予定だった『サイバーパンク2077』が、3回目の延期を発表し、深く落胆している筆者です。
今回の"いいものさがし"は、同じオープンワールドゲームの覇者ともいえるゲームを7年ぶりにふりかえります。
『Grand Theft Auto V』通称、GTA5、グラセフ5。
コロナ影響下で時間ができ、サイバーパンクを迎える準備として7年前にプレイ済のこのゲームを再びプレイしました。
3日ほどかけメインストーリーを全クリし、改めてグラセフの偉大さを痛感したので書き残しておこうと思います。
洋ゲー界の覇者『GTA5』の、3つの顔に着目してふりかえっていきましょう!
もくじ
オープンワールドの覇者としての顔
かれこれ10年以上ゲーム界のスタンダードジャンルとなっている「オープンワールドゲーム」(以下、OW)。
オープンワールドゲームとは
大きなマップ(世界)が用意され、プレイヤーは好きにマップ内を冒険できる。
そこでメインストーリーはもちろん、各地のサイドミッション等が進行されていく。
1999年発売の『シェンムー』や、2001年発売の『グラセフ3』の功績もあり、このジャンルは一気にゲーム界を牛耳ったように感じます。

胸を張って、オープンワールドオタクと自称しています(笑)
特に2008年発売の『Fallout3』には衝撃を受け、人生で最もやり込んだゲームです。(FO3に関しては別記事で紹介予定です)
オープンワールドの基準を作った(作ってしまった)ゲーム
2020年10月現在、現在進行形で次々と新たなOWゲームが発売されています。
先日発売の『ウォッチドッグス レギオン』を含め、来月発売予定の『アサシンクリード ヴァルハラ』、そして12月の『サイバーパンク2077』。
残り少ない今年だけでも、大作OWの発売が次々と予定されています。
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【サイバーパンク2077】ナイトシティの歩き方 - ワトソン
12月10日発売予定『サイバーパンク2077』。
その舞台となる"ナイトシティ"の歩き方!
第一回は、北部の人気エリア『ワトソン地区』を取り上げます。続きを見る
あくまで持論ですが、現在のOWはGTAを基準として作られているように感じます。(もう1つあげるなら『スカイリム』)
実際本作が発売された直後は、本当に多くの類似ゲームが後を立ちませんでした。
「これグラセフじゃね?」なんてゲームがたくさん出てきたのです。(そしてやはりそういったゲームは成功していません。)
現在は技術も進歩し、新たなシステムや操作感をもった作品も続々誕生していますが、やはりどこかでこの「グラセフっぽい」という呪いを必死に抜け出そうともがいているように思います。
(例えば、本日発売の『レギオン』もそう感じます。)
それほどまでに、現代OWの基礎を築き上げた本作の影響力は凄まじいものだと思います。
しかしなぜGTAのOWは評価されているのでしょうか?
その答えは『作り込み』です。
オープンワールドにおける作り込みの重要性
OWにおいて、『作り込み』は命とも言えます。
最近でもそうですが、この『作り込み』ができていないゲームが多すぎる!
ここで僕のいう『作り込み』の定義は、サイドミッションが各地にたくさん点在していることではありません。
また、建物に入れる、乗り物のエンジン音のリアルさ、などを意味する訳でもありません。
「街が、世界が生きている」ことを意味します。
街には、地名やエリアが存在し、それによって建物や乗り物、住む人々が変わる。
世界には歴史があり、人種や生物間にコミュニティがあり、社会がある。
プレイヤーはそれらに自然に触れられ、感じられ、入り込める。
これがOWの作り込みだと僕は思っています。
GTA5は、バインウッド(ハリウッド)では、豪邸に裕福な人々が住み、高級車がガレージに止まっている。
ロスサントスの東地区では、スラムの様な雰囲気で小規模な工場や長距離バスのステーションがあり、安物の服を着ている。
西地区は、ビーチなどの観光アトラクション、南地区には空港や大規模な工業地帯や港があり、それぞれに観光客やワーカーなど固有の人々が生きている。
街の店や車メーカーには固有の会社が設定されており、損害が出ると株価にまで影響する徹底ぶり。
ロスサントス市内だけでも、現実のLAの様に多種多様な人々や建物が入り混じっています。
それを車の中から眺めていると、自分が本当にロスサントスという街にいる感覚に陥り、マイケルやトレバーといったキャラクターに現実味を感じ、ストーリーにのめり込んでいけるのです!
マップの作り込みは、OWの根幹に関わる部分だと確信しています。

実際には存在しないファンタジーの世界でも、魔法使いや盗賊なんかの歴史や文化、人種や心情を聞かされると、否が応でも世界に説得力を感じさせられます。
筆者の『作り込み』の定義に関して、もっと分かりやすいよう、2つのゲームを紹介します。
どちらも『作り込み』が甘く、最後まで世界に入り込めず、クリアできずに終わってしまったゲームです。
※あくまで個人の意見です。どちらも名作として世界から評価されています。
OWとして良くなかったケース1. Marvel's Spider-Man (スパイダーマン)
2018年に発売され、話題を呼んだ『スパイダーマン』。
ニューヨークのマンハッタン島を再現し、スパイダーマンとして爽快に飛び回ることができるこのゲームは人気を博しました。
美麗なグラフィック、爽快アクション、迫力満点のミッション。
アクションゲームとしては、間違いなく名作として挙げられるゲームだと思います。
しかし...
今回、筆者が提唱する『OWの作り込み』に関しては、非常に残念な出来でした。
しかも、この作り込みの甘さがあまりにも目につき、僕は全クリせずに終わってしまいました。
理由は以下3点。
1. 街の作り込みの甘さ
ニューヨークを再現!と謳っているにしては、あまりにも酷かった...
スパイダーマンとして飛び回ることを前提としているのか、地上の風景は本当にソマツでした。
マンハッタンにはチャイナタウンがあるのですが、そこを歩くと1ブロックごとに全く同じ漢字の看板が並んでいたことに衝撃を受けました。
全く同じ看板です。
漢字の読めない英語圏の方からすると、どうでもいい部分なのかもしれませんが、中途半端に中国語や漢字を理解できる自分からすると、コピーアンドペーストしたとしか思えない街並みから、一気に現実へ引き戻されました。
2. 人々
現実のニューヨークには、たくさんの人々が暮らしています。
ゲーム内でも人はたくさんいましたが、生きている感じが全くしないのです...
いやゲームなんだから、と割り切ってしまえばそこまでなんですが、例えばGTAだと、携帯で電話している人や喧嘩している人、犬の散歩をしていたり、飲み物を飲んでいる人など、人々は各々の生活をしているように見えるのです。
主人公がスパイダーマンなので、地上に降りると通行人の反応はたいてい「ワオ!スパイダーマンだ!」です(笑)
せっかくニューヨークにいるのに、ずっと浮いているような感覚。スパイダーマンだけに。
3. 主人公がめっちゃ喋る
これは完全に好き嫌いが分かれる部分だと思うんですが、主人公が陽気なのでめっちゃ喋ります。
ミッションが終わって、フリータイムになってもずっと喋ってます。
通信もめっちゃきます。
自分自身、そんなに陽気でもないので全然感情移入もできません。(笑)
「ゆっくり街を堪能させて!」と通信を無視しても、すぐに近くで事件が起きてパトカーがサイレンを鳴らし走り回り出します。
うんざりして、スイッチを切ったことが何度もありました。
上記3点から、必ずしもOWでなければいけないゲームではなかったと感じています。
単純にストーリーを追いかけるアクションゲームとして、ストーリー内でニューヨークの摩天楼をド派手に飛び回るパートがあるくらいでよかったような気がします。
アンチャーテッドシリーズのような形が理想かも?
とにかくOWとしては、残念なゲームでした。

チャイナタウンの看板に衝撃を受けた。この1ブロックだけでも、赤いFOR RENTの看板が3枚コピペされている。(上段右端、その斜め下、左壁面の上段手前から2番目)
引用元:https://www.artstation.com/artwork/qAZXke
OWとして良くなかったケース2. Ghost of Tsushima (ゴーストオブツシマ)
こちらも2020年に発売された、世界的に評価されたゲームです。
日本の対馬が舞台ということで、日本でも大変注目をあび、Twitterでもトレンドになっていましたよね。
緊張感溢れる戦闘、日本の美しい原風景、オープンワールドでは珍しいお寺やお城。
魅力たっぷりで僕も楽しんでプレイしていました。
しかしこちらもスパイダーマンほど酷くはないのですが、細かい部分が気になってしまい挫折してしまいました。
細かい部分を挙げるとキリがないのは承知の上ですが、簡単にいくつか挙げます。
なんでモンゴル人がそんなに日本語流暢なの?
住んでいた訳でもなく敵国を研究し学んだだけでそこまで流暢になる!?
は最初に思ったことでした(笑)
もう少し詳細な説明や、少しなまらせるなどしてくれれば...と思ったり。
それから、非常に美しい対馬の風景にウットリした方も多いと思いますが、そこも説得力に欠ける部分がありました。
なんでここだけ葉っぱの色違うの?とか、こんなところ寺作る?とか(笑)
インスタ映えに寄せすぎて、リアリティというか説得力を失っている印象を受けてしまいました。
個人的に、日本のワビサビというか、引き算の美学というか、そういった美しさを追求して欲しかったのですが、中国の夜景の様にすごくケバケバしい美しさになってしまっていたのが残念でした。
本当に美しく、楽しいゲームなんですが、世界観の説得力に欠ける細かな点が目についてしまったゲームでした。

アクションゲームとしては、すごくおもしろいのでぜひプレイしてみてください!
引用元:https://gamingbolt.com/ghost-of-tsushima-has-become-ps4s-highest-selling-first-party-game-in-japan-to-date
バックグラウンド設定の覇者としての顔
前項の一部でも触れましたが、ストーリーには全く関係のない部分の設定にすごくこだわっています。
ゲーム内に架空の会社が存在し、街のあらゆるお店や工場、エンタメに関わっています。
損害が出ると株価に影響したり、インターネットで知人のSNSを覗いたり、カーラジオではメインミッションで起きた事件が報道されます。
こういった設定がしっかりしていると、例え同じ外観のハンバーガーショップがあっても、コピーアンドペーストとは感じず、チェーン店だから外観が同じなんだと納得できるのです。
3人の主人公の愛車に乗ると、いつも同じチャンネルのラジオがかかります。
マイケル:80年代の音楽
トレバー:ロックやカントリー
フランクリン:R&Bなどの黒人音楽
こういった細かな部分により、ストーリー上で語られる各々のキャラクターの趣味や内面の一部を知ることができ、こんな人なのかなと想像が膨らみます。
フリータイムでは、それぞれのキャラクターはあまり喋らないので(どこかのスーパーヒーローと違い)、自分自身を投影し、のんびりとドライブを楽しんで町並みの変化を楽しんだり、トライアスロンやパラシューティングに興じることができます。
OWは、いかにストーリーで説明せず、その世界に入り込めるかがポイントだと考えています。
それを実現するのが、こうしたバックグラウンド設定の充実なのです!
ちなみに、この部分で次世代の覇者になりうると睨んでいるのが『サイバーパンク2077』。
僕の過去の記事をみていただければわかりますが、その圧倒的な設定の情報量は凄まじいものがあります。
GTA5の時代を終え、『サイバーパンク2077』が次の基準になるのではと僕は予想しています。
下の記事は、『サイバーパンク2077』に登場する車と製造会社の一覧です。
車1つとっても、ここまで設定が作り込まれています!
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【サイバーパンク2077】 登場車種一覧(カーブランド別)
今回は、サイバーパンク2077に登場する車種を紹介!
カーブランドの紹介もしていますので、11月19日の発売までにしっかり予習!
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魅力的なキャラクター宝庫としての顔
とにかく魅力的なキャラクターが多いです。
主人公の3人はもちろんのこと、敵キャラにまで愛着が湧きます。
主人公たちを利用する、小汚いFIB捜査官や丘の上の豪邸に住むセレブたちもどこか憎めないキャラクターたちです。
ユーモアに溢れ、ヨガにいそしみ、ピンチになるとブザマに喚きます。(笑)
彼らが成敗したりされたりを繰り返し、時には国家機密の猛毒兵器を研究施設から盗み出すといった映画さながらのアクションを見せます。
主人公マイケルは、そのどうしようもない性格から家族に見限られますが、最後は家族みんなで一致団結するなど、各々のストーリーに起承転結がしっかりと作られているのもポイント。
強盗や殺人など、許せない犯罪を多く行っている彼らですが、それでも好きになってしまう様に作られているのはさすがだなと思います。
フリータイムを自由に過ごせ、多くのアトラクションを楽しめるので、それぞれのキャラクターを操っているのにもかかわらず、ロールプレイングの様にも楽しむことができる点もいいポイント。
GTAは、キャラクターにおいても一切の妥協なく作り上げたのです。
改めてプレイして
今回7年ぶりに改めて、ストーリーをプレイしてみて一番驚いたのが「古くない」ことでした。
普通に楽しめるし、PS4版でプレイしたので大画面でもキレイでした。
7年経ち、後発のゲームをたくさんプレイしてきた筆者が「古くない」と感じたのは、きっとGTA5が現在に至るまでOWの基準を守り続けてきたからだと思います。
いまだにオンラインの売り上げが伸び続け、来年にはなんとPS5版が発売されると発表されTwitterでもツッコまれていましたが、3世代に渡り王者の座を守り続けているのでしょう。
『サイバーパンク2077』が王座を勝ち取るのか、未だ発表のない『GTA6』が塗り替えるのか。
OWのこれからに期待です!